近年、残念なことに音楽の道を志す若者が減っています。音楽大学が、次々に定員縮小や閉鎖を余儀なくされている現状は、由々しき事態です。
音楽の道を志しても、将来、演奏家として、或いは教育者として活躍できるのは、才能と幸運に恵まれたごく一握りの人たちで、多くの人たちは、若い頃から情熱を傾けて取り組んだ音楽のスキルを社会貢献に生かせず、挫折感を味わうといった将来への不安が大きな原因と考え、2026年4月に新たに開学する福岡国際音楽大学では、音楽による医療や福祉に貢献できる音楽療法士や、自動車産業に続きこれからの世界を牽引出来る日本の強みとされるアニメーションやゲームといったいわゆるコンテンツ産業でのミュージッククリエータなど、多彩な人材育成を目指し、学長をお引き受けすることにいたしました。とはいえ、やはり、世界で通用するトップクラスの演奏家育成は、音楽大学としての究極の目標であり、同世代の若者たちが憧れ、目標とするロールモデルとなるスターの存在は不可欠です。
「次代のスターとなるべき才能を見いだし、演奏のチャンスを提供しみんなでその成長を応援する」•••
関西を中心に多くの優れた生徒さんを送り出しているピアニスト、遠藤真枝さんの熱い思いに共感し、ザ•フェニックスホールさんからの有難い協力もいただき、この度、その第1弾として、東京藝大ジュニア•アカデミー生時代から私が注目していたヴァイオリンの中谷哲太朗君とピアノの栗林萌華さんに登場願うことに致しました。私自身もプログラムの中で共演し、若いお二人からの刺激をいただけることを楽しみにしております。
多くの皆さまがこのプロジェクトに賛同してくださり、音楽を志す若き才能を応援してくださることを心より願っております。
ヴァイオリニスト
福岡国際音楽大学学長
澤 和樹
プロフィール
1979年、東京藝術大学大学院修了。「安宅賞」受賞。ロン=ティボー、ヴィエニャフスキ、ミュンヘンなどの国際コンクールに入賞し、イザイ・メダル、ボルドー音楽祭金メダルを受賞するなどヴァイオリニストとして活躍。'80年より文化庁在外研修員としてロンドンに派遣され、ジェルジ・パウク、ベラ・カトーナの両氏に師事。'84年に東京藝大に迎えられるとともに本格的な演奏活動を開始し、'89年には、文部省在外研究員としてロンドンの王立音楽院に派遣され、さらに研鑽を重ねた。この時期、アマデウス弦楽四重奏団メンバーとの出会いにより澤クヮルテットの結成を決意する。'96年より指揮活動を開始。2003年、'04年には響ホール室内合奏団、'05年には東京弦楽合奏団を率いて英国各地で演奏し絶賛される。日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、九州交響楽団、紀尾井ホール室内管弦楽団などにも客演し好評を博す。2023年には藝大フィルハーモニア管弦楽団とともに日本のオーケストラとして57年ぶりに世界3大オペラ劇場といわれるアルゼンチンのコロン劇場を訪れ、大成功を収める。ヴィオラ奏者としては、アマデウス弦楽四重奏団メンバー、クスQ、グスタフ•マーラーQ、カードゥッチQらと共演、ヘンシェルQとは‘08年にマックス・ブルッフの弦楽五重奏曲 No.2 の世界初演および初録音をリリース。’12年にはスペイン王室所蔵のストラディバリウスによる演奏にも参加し絶賛される。
2004年、和歌山県文化賞受賞。東京藝術大学音楽学部教授、音楽学部長を経て2016年より2022年まで東京藝術大学長。2023年、韓国文化観光スポーツ長官賞受賞。現在、昭和音楽大学客員教授、東京藝術大学および英国王立音楽院名誉教授。東京大学先端科学技術研究センター•フェロー。(公益社団法人)日本演奏連盟理事長。(公財)文化財保護・芸術研究助成財団理事長。2026年春に開学の福岡国際音楽大学学長就任予定。